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2018/09/26

【医師監修】脂漏性皮膚炎とは?気になる原因と治し方を徹底解説!

顔が赤い赤ちゃん

稲葉岳也医師

監修医師:いなばクリニック院長 稲葉 岳也医師
資格:医学博士 日本耳鼻咽喉科学会専門医 日本アレルギー学会専門医 日本レーザー医学会認定医

「毎日シャンプーしているのにフケが気になる」ということがありませんか。もしかしたら、それは脂漏性皮膚炎かもしれません。脂漏性皮膚炎の症状ではかゆみや痛みなどがあまり感じられないため、気になっていても放置したり、自分なりのケアを行ったりという人が多いようです。しかし、ケアの仕方が間違っていると改善どころか悪化してしまいます。やがては慢性化し、完治が難しくなることもあるため、正しい方法で早めに改善したい皮膚疾患なのです。
脂漏性皮膚炎とはどのような症状なのか、何が原因なのか、対処法や予防法に至るまで詳しく説明していきます。

脂漏性皮膚炎ってどんなもの?

脂漏性皮膚炎は、一度発症すると治りにくく、慢性化しやすいと言われています。では、脂漏性皮膚炎とはどのようなものか、その特徴や症状について解説します。

脂漏性皮膚炎の特徴

脂漏性皮膚炎は「脂漏性湿疹」とも呼ばれていますが、湿疹といってもあまりかゆみがないのが特徴です。皮脂の多い部位に発生しやすく、生後3カ月くらいの赤ちゃんによく見られます。
大人では特に30~40代くらいに多く、女性よりも男性によく現れる疾患です。原因の1つにホルモンの影響があげられます。そのため、ホルモンの分泌が少なくなる老年期に発症する人はそれほど多くありません。ただし、人によってはホルモンの分泌が衰えず、老年期以降に発症する人もいます。赤ちゃんの場合は、自然に治ることがほとんどと言われていますが、大人は完治が難しく、慢性化することが多いようです。

脂漏性皮膚炎の代表的な症状

軽い症状では、頭皮にフケが目立ったり、眉毛や小鼻周辺に肌荒れを感じたりします。かゆみが少ないので見過ごしてしまうことがほとんどです。そのままにしておくと症状が進み、フケが大きくなって、かさぶたのようなかたまりになります。顔やからだにもフケのようなものが見られることがありますが、これは、はがれかけた皮膚が細かく浮いたものです。さらに症状が進むと、皮脂の酸化によって独特の臭いを放つようになります。人によっては髪の毛が細くなったり、薄くなったりすることもあります。

脂漏性皮膚炎の代表的な症状

脂漏性皮膚炎の症状が現れるのは、皮脂腺が多く、皮脂がたくさん分泌される部位です。頭皮をはじめ、眉毛や小鼻周辺によく見られます。また。髪の生え際や耳の裏側も皮脂の多い部位です。身体では、首周り、わきの下、胸、背中、脚の付け根などにも現れます。

脂漏性皮膚炎が発生する仕組み

脂漏性皮膚炎は皮脂の過剰分泌により発症するものですが、皮脂が少なければ良いというわけでもありません。皮脂は肌を守るために欠かすことができない物質なのです。皮脂を分泌する脂腺は手の平と足の裏以外の全身の皮膚に存在します。脂腺から分泌された皮脂は汗などの水分と混合し、皮膚の表面で皮脂膜と呼ばれる膜を作ります。毛穴から有害物質やウイルスが侵入するのを防ぐには、弱酸性の殺菌作用を持つ皮脂膜が必要なのです。
このように有益なはずの皮脂が、なぜ脂漏性皮膚炎の原因になるのでしょうか。赤ちゃんの場合は皮脂の分泌に対して毛穴が未発達であることが原因と考えられています。成長とともに毛穴が発達するため、自然に治ってしまうことがほとんどです。一方、大人の場合はマラセチアという常在菌が影響しています。

脂漏性皮膚炎の原因について

皮膚があるからには誰にでも起こりうるものですが、脂漏性皮膚炎になる人とならない人がいます。その違いはどこにあるのでしょうか。脂漏性皮膚炎の原因について解説します。

明確な原因はいまだ分かっていない

実は、脂漏性皮膚炎の原因は、まだ明確に分かっていません。皮膚の常在菌であるマラセチアというカビが影響しているということは分かっていますが、他にも、遺伝や生活習慣などが関係していると考えられています。

考えられている脂漏性皮膚炎の原因

脂漏性皮膚炎の直接的な原因は皮脂の過剰分泌です。では、皮脂が大量に分泌される原因はなんでしょうか。皮脂の分泌に関係する主なものとして、遺伝的要素、環境的要因、精神的ストレスなどが挙げられます。

マラセチアを原因とするもの

脂漏性皮膚炎の原因の1つといわれるマラセチアは、人や動物の肌に存在する常在菌です。皮脂を栄養源とし、皮脂に含まれるトリグリセリドという中性脂肪を分解します。と同時に作られるのが遊離脂肪酸です。遊離脂肪酸は体内のさまざまな組織でエネルギーとして利用されています。しかし、界面活性作用を持つため、多量に存在すると細胞膜を溶かして細胞を壊してしまうのです。こうしたことから、マラセチアの存在が脂漏性皮膚炎の発症につながると考えられています。

脂漏性皮膚炎の対策方法について

軽度の脂漏性皮膚炎の場合、症状の軽減が期待できるいくつかの方法があります。まずは食生活を見直してみましょう。揚げ物などの油っこい食事は皮脂を増やす原因です。アルコールやコーヒー、香辛料などの刺激の強い食べものも皮脂の分泌量に関係します。肌に良いとされるビタミンB群やビタミンCを中心に、バランスの良い食事を心掛けましょう。肌に余計な刺激を与えないために、紫外線対策にも気を配りたいところです。また、増えすぎたマラセチア菌を減らすために、マラセチア菌に対しての殺菌作用がある化粧品を使うのも有効です。

脂漏性皮膚炎の治療法

脂漏性皮膚炎の治療には主に外用薬が使用されます。炎症をおさえるステロイドや抗真菌剤であるケトコナゾールが配合された塗り薬が一般的です。症状が強い場合には内服薬が処方されます。主なものには、抗ヒスタミン剤、抗アレルギー剤、ビタミンB剤などがあります。

脂漏性皮膚炎の予防法

皮脂の分泌量は体質にも関係します。ですが、日常のちょっとした注意で過剰な分泌を抑えることが可能です。
まずは、肌を清潔にする洗顔・洗髪が正しくできているかチェックしてみましょう。フケが気になるときなど念入りに洗いたくなるものですが、洗いすぎると、流された皮脂を補うためにさらに多くの皮脂が分泌されてしまいます。刺激を与えないよう優しく洗い、ぬるま湯でしっかりと洗い流すことがポイントです。頭皮や肌を清潔に保つことが脂漏性皮膚炎の予防・改善につながります。
なかなか改善されない場合はシャンプーやソープが肌に合わないのかもしれません。なるべく刺激の少ないものに変えてみてはいかがでしょうか。市販のシャンプーやソープの中には、マラセチアなどのカビに効く抗真菌剤が含まれた製品があります。このような抗菌成分が含まれたものを使用するのも良いでしょう。
お風呂上がりのケアも大切です。シャンプー後にいつまでも髪が湿ったままでいると頭皮に雑菌が増え、脂漏性皮膚炎の発症につながります。必ずドライヤーで髪を乾かすように心掛けましょう。顔や身体には化粧水・乳液などで保湿を行うと、皮脂の過剰な分泌を抑えることができます。
次に食生活をチェックしましょう。脂っこい食べものや甘いもの、アルコール、コーヒー、香辛料は肌に刺激を与え、皮脂の分泌を活発にします。取りすぎには注意しましょう。肌の健康に効果的とされるビタミンBやビタミンCを中心に、バランスの良い食事を心掛けることが大切です。特にビタミンB群のビオチンには、皮膚炎の予防や髪の毛を健康にする効果があると言われています。ビオチンを多く含む代表的な食材は、レバー、イワシ、ニシン、落花生、卵です。
生活環境では、睡眠不足やストレスの改善に心掛けましょう。不規則な生活はホルモンバランスの乱れを引き起こし、皮脂の過剰分泌につながります。また、イライラして頭や肌をかきむしるなどして、肌の状態を悪化させてしまうこともあるでしょう。忙しくても無理をせず、休養をきちんととることも大切です。
これらの生活習慣の見直しは脂漏性皮膚炎を予防するだけでなく、全身の健康にも影響することです。ぜひ意識して続けていきましょう。

治らない脂漏性皮膚炎は医師に相談を

脂漏性皮膚炎は慢性化しやすく、再発を繰り返すことが多い皮膚疾患です。原因もはっきりとは分かっていないため、早めに専門医の治療を受けることをオススメします。処方された薬を使うとともに、日常生活を見直し、根気強く治していくことが大切です。

監修医師

稲葉岳也医師

いなばクリニック院長 稲葉 岳也医師
資格:医学博士 日本耳鼻咽喉科学会専門医 日本アレルギー学会専門医 日本レーザー医学会認定医
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東京慈恵会医科大学卒業後、2004年に、いなばクリニックを開業。
耳鼻咽喉科、皮膚科、美容皮膚科、美容外科、形成外科、内科、アレルギー科を主体とした総合アンチエイジングクリニックです。
レーザー治療、アンチエイジング治療の専門であることから、最新のレーザー機器を導入し、最先端医療を担った治療を行っております。
また、かかりつけ医として、地域への密着を目指したクリニックです。


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