監修医師:いなばクリニック院長 稲葉 岳也医師
資格:医学博士 日本耳鼻咽喉科学会専門医 日本アレルギー学会専門医 日本レーザー医学会認定医
「皮膚が薄くて赤みが目立つ」あるいは「すぐに顔が赤くなってしまう」といった悩みで困っている人も多いのではないでしょうか。顔の赤みが目立つ状態を、赤ら顔といいます。顔は目につきやすいパーツだけに、悩むこともあるはずです。赤ら顔の原因は大きく分けて「毛細血管が肌から透けて見える赤み」と「肌の炎症による赤み」の2つがあります。赤ら顔の改善を促すためには、それぞれの原因に合わせた対策を考えることが重要です。赤ら顔の発症原因や症状が出る仕組みを理解して、気になる赤みを改善していきましょう。
赤ら顔の原因は「皮膚が薄い」ことと「肌の炎症」
同じ赤ら顔でもその原因によって、「毛細血管が肌から透けて見える赤み」と「肌の炎症による赤み」という2つのタイプに分類できます。ここではタイプ別に、それぞれの要因となるものを紹介します。
毛細血管が肌から透けて見える赤みの要因
血管を流れる血液は、ヘモグロビンという色素によって赤い色をしています。その血の色が肌の上から透けて見えることでおきるのが、毛細血管によってできる赤ら顔です。
生まれつき皮膚が薄い・肌が白い
生まれつきの体質で、赤みが出やすい人がいます。皮膚の下にある毛細血管は、通常は皮膚の表面からは見えません。ですが、生まれつき皮膚が薄い人、色が白い人では、肌の上からでも毛細血管が透けて見えやすい傾向があります。特に頬や鼻の皮膚は他の部分に比べても薄く、赤みが目立ちやすくなっています。
毛細血管拡張症
毛細血管の異常が赤みにつながることもあります。毛細血管は通常収縮と拡張を繰り返していますが、何らかの理由で広がった血管が元に戻らないままになってしまうことがあります。これが、毛細血管拡張症です。毛細血管拡張症になると、広がった血管による赤みが目立つようになります。毛細血管拡張症の主な原因としては、アルコールや香辛料の取りすぎ、自律神経の乱れ、寒暖差などが考えられます。
肌の炎症による赤みの要因
肌の炎症も赤ら顔の原因になります。肌の炎症が起きる原因としては、ニキビやかぶれ、乾燥などが考えられます。ここでは、肌の炎症による赤ら顔について説明します。
ニキビ・かぶれ
赤ニキビやかぶれでは、肌に赤みが出ます。これは、患部周辺の肌が炎症を起こした状態です。炎症が起きると周辺の血管が拡張し、その結果、皮膚に赤みが出るようになります。通常、炎症による赤みは一時的なものです。炎症が治まれば赤みも消え、肌の色も元に戻ります。しかし、完治しないまま症状が長引いてしまった場合は問題です。治らないうちに新しいニキビができるといったように炎症が治まらない状態が続くと、色素沈着をおこしてしまう恐れがあります。
乾燥肌
肌の乾燥も赤みの原因になります。肌の水分量低下によっておきる乾燥肌は肌のバリア機能が低下しており、外部からの刺激に弱い状態になっています。そのため、ちょっとした刺激にも敏感に反応し、炎症をおこしてしまうのです。こうしたことから、乾燥肌の人では健康な肌の状態の人よりも赤みが出やすくなっていると考えられます。
赤ら顔の改善を促す方法
赤ら顔を改善していくためには、原因に合わせた改善策を実践するのが効果的です。例えば、肌の炎症が原因の場合はまず肌の炎症を抑えなければなりません。そこで、この段落では赤ら顔の改善を促す方法を原因別に紹介します。
毛細血管が透けて見える赤ら顔の改善方法
毛細血管が原因でおきる赤ら顔については、美容皮膚科でのレーザー治療が効果的とされています。しかし、保険が効かないため費用は高めです。しかも、時間が経つとぶり返す場合もあります。このタイプの赤ら顔も、軽度であればセルフケアでの改善が期待できます。ここから先の段落では、具体的なセルフケアのポイントについて見ていくことにしましょう。
香辛料・カフェイン・アルコールを控える
香辛料やカフェイン、アルコールは、赤みを悪化させる原因です。これらの成分には血流量を増やす働きがあるため、毛細血管を広げてしまうからです。その結果、顔の赤みがより目立つようになります。赤ら顔の赤みを改善するのであれば、こうした血行促進作用のある成分の摂取しすぎには気をつけましょう。
しっかり保湿する!バリア層を健全に整えてバリア機能を高める
保湿ケアを徹底し、肌をすこやかな状態に保つことも重要です。肌の水分量が不足すると肌の本来持っている機能が失われ、血管が透けて見えやすくなります。肌を刺激から守るバリア層は、肌に十分なうるおいがないと正常にはたらいてくれません。洗顔後などには化粧水などの保湿アイテムで、しっかりと保湿を行うようにしましょう。このとき、使う保湿アイテムについては、肌のバリア機能を高める効果があるといわれるセラミド配合のもの、赤ら顔でも安心して使える無添加で低刺激のものがおすすめです。さらに、化粧水などで外からうるおいを補うだけでなく、こまめな水分補給で身体の内側からうるおすことも忘れないようにしましょう。
寒暖差による刺激を避ける
寒暖差による刺激を避けることも重要です。寒い場所では体温を保つために血管が拡張します。通常、開いた血管は暖かい室内に行くと自然と収縮し、元の状態に戻ります。ですが、寒暖差のある場所を行き来していると毛細血管が開いたまま戻らなくなり、赤みが出てしまいます。寒い季節はマフラーなどで防寒対策を徹底し、顔を冷やさないように注意しましょう。
自律神経を整える
血管は拡張と収縮を繰り返し、血液の流れる量や速度などを調節しています。こうした血管の拡張・収縮をコントロールしているのが自律神経です。自律神経は交感神経と副交感神経という2つの神経から成り立っています。この両者がバランス良くはたらくことで、人間の体の健康が保たれているのです。しかし、現代人の場合、ストレスや過労などが原因で自律神経のバランスがつい乱れてしまいがちです。自律神経が乱れると血管の拡張・収縮がうまくいかなくなり、血管が拡張された状態のまま元に戻らなくなってしまいます。ストレスを溜めない、しっかり睡眠をとるなど、自律神経に優しい生活を心がけましょう。また、自律神経の乱れを整えて滞った血液の巡りをスムーズにする「サプリメント」の摂取も有効です。
肌の炎症による赤ら顔の改善方法
肌の炎症による赤ら顔を改善するためには、赤みの原因となる炎症を早く治すことが大切です。そのためには日頃の肌のケアが重要になります。そこで、ここでは、肌の回復力を高め、炎症の悪化を防ぐためのスキンケアのポイントを紹介します。
過度なスキンケアはしない
肌の健康を守るためにはスキンケアが欠かせませんが、やりすぎると肌に負担をかけてしまいます。肌に触れる行為、化粧品や洗顔料の成分といったものは、場合によっては肌への刺激になるからです。たとえば、洗顔の回数を増やすと必要な皮脂まで洗い落としてしまい、かえって皮脂の分泌を増やしてニキビの悪化を招きます。もし洗顔をするなら1日2回までにしましょう。その後のスキンケアについても、無添加で低刺激の基礎化粧品を使ったシンプルなケアを心がけましょう。
赤ら顔が改善しない・悪化する場合は皮膚科を受診しよう
もし、セルフケアを続けても赤みが改善しなかったり、むしろ炎症などの症状が悪化したりするようであれば、早めに皮膚科を受診しましょう。適切な治療を受けることで、症状の改善が期待できます。症状が改善しないのに自己判断でセルフケアを続けるのは危険です。たとえばニキビの場合では、症状が進んでしまうと跡が残ってしまう恐れがあります。症状をできるだけ早く治すためにも、気になることがあったら一度専門家である医師に相談することをオススメします。
肌の調子をみながら赤ら顔を改善していこう
赤ら顔はセルフケアでも改善が期待できます。ただし、効果が出るまでに時間がかかったり、場合によっては悪化したりする可能性もありますので、肌の状態には十分な注意が必要です。セルフケアを続けていくなかで、炎症がなかなか治らない、赤みがひどくなったなど「おかしいな」と思うことがあったら無理をせず、きちんと医師に診てもらうようにしましょう。効果的に赤みを治していくためにも、自分の肌のコンディションに合わせた対応をすることが大切です。
いなばクリニック院長 稲葉 岳也医師
資格:医学博士 日本耳鼻咽喉科学会専門医 日本アレルギー学会専門医 日本レーザー医学会認定医
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東京慈恵会医科大学卒業後、2004年に、いなばクリニックを開業。
耳鼻咽喉科、皮膚科、美容皮膚科、美容外科、形成外科、内科、アレルギー科を主体とした総合アンチエイジングクリニックです。
レーザー治療、アンチエイジング治療の専門であることから、最新のレーザー機器を導入し、最先端医療を担った治療を行っております。
また、かかりつけ医として、地域への密着を目指したクリニックです。